写真で見るNF1
カフェ・オ・レ斑
診断基準「6個以上のカフェ・オ・レ斑」
概要
合併頻度 | 95% |
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初発年齢 | 出生時 |
特徴
- メラニンが過剰に産生されてできる、均一な淡いミルクコーヒー色~濃い褐色の色素斑です。
- 小児では径0.5cm以上、成人では径1.5cm以上のものをひとつの斑として判定します。
- 盛り上がりがなく、丸みを帯びた滑らかな長円形のものが多いです。
- 良性の色素斑です。
- 根本的な治療方法はありません。
- 乳児期にはカフェ・オ・レ斑以外の症状はみられないことも多いため、家族歴がなければこの時期に確定診断を行うことは困難な場合もあります。その場合は、時期をおいて再度ほかの症状の確認を行う必要があります。
神経線維腫
診断基準「2個以上の神経線維腫(皮膚の神経線維腫や神経の神経線維腫等)またはびまん性神経線維腫」
概要
合併頻度は皮膚の神経線維腫(95%)>神経の神経線維腫(20%)>びまん性神経線維腫(10%)の順です。
整容性の観点、視野制限や運動制限等の機能障害、疼痛等から、患者さんのQOLを低下させることがあります。
合併頻度 | 95% |
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初発年齢 | 思春期(12~18歳) |
特徴
- 常色あるいは淡紅色の弾性軟の腫瘍です。
- 神経の走行に関係なく全身に多発します。
- 整容性の観点または精神的苦痛を改善するため、外科的切除も選択肢となります。数が少なければ局所麻酔、数が多ければ全身麻酔下で切除します。
- 理由は明らかではありませんが、手術後の瘢痕形成を生じることは少ないと報告されています(海外データ)1)。
1)Miyawaki T. et al.: J Craniofac Surg 18(5):1008-1011, 2007
概要
合併頻度は皮膚の神経線維腫(95%)>神経の神経線維腫(20%)>びまん性神経線維腫(10%)の順です。
整容性の観点、視野制限や運動制限等の機能障害、疼痛等から、患者さんのQOLを低下させることがあります。
合併頻度 | 20% |
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初発年齢 | 学童期(6~12歳) |
特徴
- 皮下の神経に沿って紡錘形に硬く触れ、圧痛、放散痛を伴うことが多い症状です(多発することもあります)。
- まれに悪性末梢神経鞘腫瘍の発生母地となりうるため、可能であれば外科的切除が望ましいですが、切除すると神経を切断することになるので、症状や患部の状態により治療の可否を判断します。
概要
合併頻度は皮膚の神経線維腫(95%)>神経の神経線維腫(20%)>びまん性神経線維腫(10%)の順です。
整容性の観点、視野制限や運動制限等の機能障害、疼痛等から、患者さんのQOLを低下させることがあります。
合併頻度 | 10% |
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初発年齢 | 学童期(6~12歳) |
特徴
- 徐々に増大し、弁状に下垂するため、整容上のみならず視野制限や運動制限等の機能障害を生じます。
- 腫瘍内出血による生命の危険や悪性末梢神経鞘腫瘍を続発する危険性があるため、腫瘍が増大する前に早期の切除が望ましいとされています。
- 大型のものや発生部位によっては、一度に全切除することが困難な場合もありますが、可能な範囲での切除や継続した治療を行うことが重要です。
- この腫瘍は支持組織がもろく、血管が豊富に存在するため、切除時には大量出血の可能性があります。したがって、切除にあたっては十分な止血対策が必要です。
雀卵斑様色素斑
診断基準「腋窩あるいは鼠径部の雀卵斑様色素斑」
概要
合併頻度 | 95% |
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初発年齢 | 幼児期(1~6歳) |
特徴
- 主に腋窩・鼠径部に生じる「そばかす」状の小色素斑で、ときに全身にみられます。
- 治療の適応となることはまれです。
視神経膠腫
診断基準「視神経膠腫」
概要
合併頻度 | 7~8% |
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初発年齢 | 小児期(0~18歳) |
特徴
- 無症候、自然退縮のケースも報告されていますが、長期に経過観察すると視神経膠腫を含む低悪性度神経膠腫では、75%の腫瘍は進行します(海外データ)1)。
- 特に7歳以下の小児では、視力障害の有無に注意が必要です。
- 視力障害等の症状が出現した場合には小児科専門医、眼科専門医、脳神経外科専門医等と相談し、治療方針を決定します。
- 治療の第一選択は白金製剤を中心とした化学療法ですが、長期的な有効性についてはエビデンスがありません。
- 放射線治療は二次性悪性腫瘍のリスクを高めるため、特に小児期には推奨されません。
1)Driever PH. et al.: J Neurooncol. 100(2): 199-207, 2010
虹彩小結節
診断基準「2個以上の虹彩小結節」
概要
合併頻度 | 80% |
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初発年齢 | 小児期(0~18歳) |
特徴
- 眼の中に小さな粒がみられます。
- ほとんどの場合、視力に影響はありません。
- NF1に特徴的で合併頻度も高いため、確定診断に利用されています。
骨病変
診断基準「特徴的な骨病変の存在(脊柱・胸郭の変形、四肢骨の変形、頭蓋骨・顔面骨の骨欠損)」
概要
合併頻度 | 10%※1 |
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初発年齢 | 学童期(6~12歳)※1 |
特徴
- 脊椎の変形は10 歳以前から始まることが多い症状です。
- 15歳を過ぎて変形がみられなければ、その後、新たに出現する可能性は低いです。
- Dystrophic type※2では急速に症状が進行するため、注意が必要です。
※1 数値は脊椎の変形
※2 椎体の扇状骨浸食像(scalloping)、頂椎の椎間板高減少(wedging)、横突起や肋骨が先細り状になる(pencilling)等の特徴を有し、急速に側彎が進む脊柱側彎症3)。
3)岡山大学病院 整形外科 脊椎・脊髄グループ: 神経線維腫症(Recklinghausen病)WEBサイトより, 2023/04/03確認
概要
合併頻度 | ~3%※3 |
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初発年齢 | 乳児期(1か月~1歳未満) |
特徴
- 乳児期、下肢にみられることが多いです。
- 骨の菲薄化や変形により容易に骨折して偽関節を形成するため、早期に整形外科専門医への紹介を行います。
※3 四肢骨の変形・骨折あわせて3%
概要
合併頻度 | 5% |
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初発年齢 | 出生時 |
特徴
- 小型の骨欠損は気づかれることが少ない症状です。
- 大型のものでは髄膜瘤、脳瘤を起こすことがあるため、脳神経外科専門医へ紹介します。
- 治療として手術が考慮されますが、びまん性神経線維腫を合併している場合の治療は困難です。